お子さんの歯が生え始めると、我が子の成長に喜びを感じるものです。しかし、同時に「歯がガタガタしている気がする」「前歯が出ているように見える」など、歯並びに不安を感じるケースも少なくありません。

お子さんの歯に不安を感じたときには、早めに歯科医院へ相談することをおすすめします。なぜなら、適切な時期に小児矯正治療を始めれば、将来、抜歯をせずに歯並びを整えられる可能性を高められるからです。また、歯並びを整えるとブラッシングもしやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクも抑えられます。

矯正治療を検討する際に気になってくるのが、治療費用でしょう。小児矯正治療にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。今回は、小児矯正治療にかかる費用の目安や治療を始めるタイミングなどについて解説します。

 

小児矯正の特徴と治療費用

小児矯正は、大人を対象とした成人矯正とは異なり、2つのステップに分けて治療を行うこととなります。小児矯正の治療費用について、治療のステップに分けながらご説明します。

 

小児矯正はⅠ期治療とⅡ期治療に分かれる

小児矯正は、あごの成長を利用して歯を並べるスペースを確保するⅠ期治療と永久歯を美しく並べるⅡ期治療の2段階に分けて行います。

歯並びが乱れる原因の一つに、歯が並ぶスペースの不足が挙げられます。大人になってから歯を並べるスペースを確保するには、抜歯するケースが多くなります。しかし、あごの骨も成長の途中にある時期であれば、あごの骨の正しい成長を促す治療を行えるため、抜歯を避けられる可能性が高くなります。

成長に合わせて装置の調整が必要になるため、治療期間は長くなるものの、小児矯正では歯を並べる土台を整えるⅠ期治療から治療を開始する点が大きな特徴となっています。したがって、矯正治療をいつから始めるかによって必要となる費用も変わってくるのです。

 

治療開始前にかかる費用

治療開始前には、カウンセリングと精密検査を受ける必要があります。適切な治療計画を立てる上では、表面からは見えない歯根の状態やあごの骨の状態、まだ生えてきていない永久歯の状態を確認しなければなりません。精密検査の費用は3万~7万円程度が目安です。

 

Ⅰ期治療の特徴と費用

Ⅰ期治療の費用の目安は、10万~50万円程度です。使用する矯正装置によって治療費用は大きく変わってきます。

あごが狭いために歯が並ぶスペースを確保できない場合は、あごの大きさを拡大する拡大床と呼ばれるプラスチック製の装置を使用するのが一般的です。拡大床の費用相場は20万~40万円程度です。

また、受け口や過蓋咬合などの治療には、ムーシールドやバイオネーターなどの装置が用いられます。それぞれの費用相場は3万~5万円程度となります。

そのほか、プレオルソやマイオブレースなど、マウスピース型の装置を使用し、お口の周りの筋肉を鍛えることで歯並びが悪くなる原因の改善を目指す治療法もあります。プレオルソの費用は10万~20万円、マイオブレースの費用は20万~60万円程度となっています。

 

Ⅱ期治療の特徴と費用

Ⅱ期治療は、永久歯が生えそろった後に行う治療法で、基本的には大人の矯正治療と同じ手法を用います。治療法は「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」があり、症例によって適したものを選ぶことが大切です。

ワイヤー矯正は歯の表面に装置を装着し、ワイヤーに加える力を調整することで、適切な方向に歯を誘導し、歯並びを整えます。ワイヤー矯正には、歯の表側に装置を取り付ける表側矯正と、目立たない歯の裏側に装置を付ける裏側矯正があります。

Ⅱ期治療からスタートする場合の表側ワイヤー矯正の費用相場は60万~100万円程度、裏側矯正の費用相場は100万~170万円程度です。裏側矯正は、オーダーメイドで装置を製作する必要があること、調整が難しいことなどから費用は高めになります。

そのほか、装置が目立ちやすい上あごは裏側に、唇で装置が隠れやすい下あごは表側に装置を付けるハーフリンガル矯正という治療法もあります。ハーフリンガル矯正の治療費用の相場は、80万~150万円程度です。ワイヤー矯正の場合は、月に1回程度の頻度で通院が必要となり、その際に調整料として5,000円~1万円程度の費用がかかります。

Ⅰ期治療からⅡ期治療に移行する場合は、Ⅰ期治療時の費用に加え、30万~50万円程度の追加費用が発生するケースが多くなっています。

マウスピース矯正は、取り外しが可能な透明なマウスピース型の装置を装着し、一定期間ごとにマウスピースを替えていくことで徐々に歯を動かす治療法です。Ⅱ期治療から開始する場合のマウスピース矯正の費用は50万~100万円程度です。マウスピース矯正の場合も、Ⅰ期治療からⅡ期治療に移行する場合とⅡ期治療から治療を開始する場合で費用負担が異なります。Ⅰ期治療からⅡ期治療に移行する場合は、30万~50万円程度の追加費用が必要になるケースが一般的です。

また、マウスピース矯正では、1.5カ月~3カ月に1回程度の通院が必要となり、その際に5,000円~1万円程度の調整料の支払いが必要です。

 

治療終了後にかかる費用

治療終了後は後戻りを防ぐ保定が必要になります。保定期間中は保定装置を一定時間装着する必要があり、保定装置代は3万~6万円程度が目安です。また、調整費として通院時に5,000円程度の費用負担が発生します。

 

小児矯正を始めるべきタイミングと治療期間

子どもの歯並びが気になるけれど、小児矯正はいつから始めるべきなのか、歯科医院に相談をするタイミングに悩む親御さんも多いようです。では、小児矯正を開始すべき時期はいつ頃なのでしょうか。

 

6歳~8歳程度が治療開始の目安

歯を並べるスペースの確保を目的としたⅠ期治療は、永久歯が生え始める6歳~8歳程度から始めるケースが一般的です。特に上あごの骨の成長が盛んな時期で、この時期に治療を始めると、あごの大きさや位置をコントロールしやすくなります。

 

3歳程度から治療を開始したほうがよいケースもある

小児矯正治療の開始時期の目安は、6歳~8歳程度です。しかし、受け口や交叉咬合などが見られる場合は、3歳程度から治療を始めたほうがよいケースもあります。

歯科医院への矯正相談のタイミングが早すぎて失敗するということはありません。子どもによって歯の生え変わりのスピードは変わるものです。心配なことがある場合には早めに歯科医院に相談しておくと、歯科医師に定期的に歯の状態を確認してもらえるため、タイミングを逃すことなく治療を始めることができるでしょう。

 

小児矯正の治療期間

Ⅱ期治療は永久歯が生えそろった12歳以降からスタートします。Ⅰ期治療の期間は、1~3年程度が一般的であり、Ⅱ期治療の治療期間も2年程度が目安です。合わせると3~5年程度の治療期間が必要です。ただし、それほど多くはないものの、Ⅰ期治療によってあごが正しく成長した場合は、Ⅱ期治療が不要となるケースもあります。

また、矯正治療終了後は歯を定着させるための保定期間が必要です。保定期間は2年程度が目安となります。

 

小児矯正のメリット

小児矯正にはさまざまなメリットがあります。ここでは、小児矯正によって得られる主なメリットをご紹介します。

 

抜歯のリスクを抑えられる

大人の矯正治療では、歯並びを整えるために、抜歯をして歯を並べるスペースを確保しなければならないケースが多くあります。しかし、小児期に矯正治療を始めると、あごの成長をコントロールできるため、抜歯をしなくてもⅠ期治療終了後には歯を並べるスペースを確保できる可能性が高まります。抜歯のリスクを抑えられる点は小児矯正の大きなメリットです。

 

比較的痛みを抑えられる

矯正治療は、歯に継続的に力を加えることで、適切な位置に歯を動かし、歯並びを整える治療法です。そのため、歯が動く際に痛みを感じるケースが多くなりますが、子どもはまだ骨が柔らかいため歯が動きやすく、大人の矯正治療に比べると弱い力で歯を移動させることができます。そのため、矯正治療時に発生する痛みを感じにくい傾向があります。

大人の矯正治療に比べて、痛みが生じにくい点も小児矯正のメリットです。

 

将来の虫歯や歯周病のリスクを低減できる

歯が重なっていたり、段差が生じていたりすると隙間に汚れがたまりやすくなります。さらに、歯ブラシも届きにくいため、汚れが除去しにくくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

しかし、小児矯正治療によって歯並びを整えると、歯の重なりや段差が解消されるため、ブラッシングもしやすくなり、汚れも蓄積しにくくなります。その結果、将来の虫歯や歯周病のリスクを抑えることができます。

 

骨格のバランスを整えられる

小児矯正治療では、成長期にあごの適切な成長を促せるため、上あごと下あごのバランスを整えることが可能です。骨格が大きくずれている場合は、外科手術が必要になりますが、骨格のゆがみを早い段階で矯正できれば、大人になってからの外科手術を回避できる可能性を高められます。

また、あごの前後・左右のバランスが整うため、お顔のバランスも自然と整い、すっきりとした印象につながります。

 

小児矯正のデメリット

メリットの多い小児矯正ですが、いくつかのデメリットもあります。小児矯正治療を始める際にはデメリットについても十分に理解しておくことが大切です。

 

Ⅰ期治療から始めると治療期間が長くなる

小児矯正治療では、Ⅰ期治療とⅡ期治療に分けて治療を行います。Ⅰ期治療で適切にあごの骨が成長して歯並びが整えばⅡ期治療が不要になるケースもありますが、Ⅰ期治療とⅡ期治療を合わせると大人の矯正治療よりも治療期間は長くなります。

ただし、あごが成長する力を利用することで抜歯をせずに歯並びを整えられる可能性は高まります。メリットとデメリットを比べれば、健康な歯を残せるというメリットのほうが大きくなるのではないでしょうか。

 

治療中は虫歯のリスクが高まる

Ⅱ期矯正でワイヤー矯正を行う場合、装置は取り外しができません。装置は複雑な形状をしており、食べかすや汚れがたまりやすいため、ワイヤー矯正中は虫歯のリスクが高まります。

ただし、日々の丁寧なオーラルケアと歯科医院での定期的なクリーニングを徹底すれば、虫歯を予防することは可能です。

 

お子さんの協力が欠かせない

小児矯正は、子どもの意志ではなく、親の意志で行うことがほとんどです。そのため、お子さんが治療に前向きに取り組めないケースも出てきます。

取り外すタイプの装置を使う場合、適切に装置を装着できなければ、計画どおりに治療を進めることができません。したがって、小児矯正はお子さんの協力次第で結果が大きく左右される可能性があるのです。治療がスムーズに進むよう、ご家庭でもお子さんに治療の必要性を説明し、お子さんが治療に前向きに取り組めるようサポートすることが大切です。

 

小児矯正費用の負担を抑える方法とは

小児矯正費用は、多くの場合、自由診療となるため健康保険は適用されません。そのため、保険診療と比較すると治療費用の負担は大きくなりますが、医療費控除の申請を行うと実質的な費用負担を軽減することが可能です。

 

小児矯正治療は医療費控除の対象

医療費控除とは、年間の医療費の額が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税や住民税が軽減される制度です。小児矯正治療は、あごの骨の適切な発育や咀嚼機能の改善など、医療目的で実施される治療であるため、医療費控除の対象として認められるケースが多くなっています。

 

医療費控除の対象となる医療費

小児矯正治療においては、具体的に次のような費用が対象となります。

 

・矯正治療の費用(装置代、調整料など)

・カウンセリング費用

・精密検査の費用

・通院のための交通費(電車やバスなどの公共交通機関に限る)

・入院費(外科手術などに伴う入院が発生した場合)

・医薬品(治療にともなう痛みなどによって鎮痛薬などが処方された場合)

 

なお、医療費控除は、生計を共にする家族が1年間に支払った医療費の合計額が申告の対象となります。お子さんが矯正治療以外で小児科に通院して発生した医療費や保護者の方の医療費も合算することが可能です。

 

医療費控除の申請方法

医療費控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要があります。確定申告期間は原則として、毎年2月16日から3月15日までです。しかし、給与所得者など、確定申告の義務がない人が医療費控除の申告のみを行う場合は、医療費が発生した翌年の1月1日から5年間、いつでも申告書を提出できます。

医療費に関する領収書は、確定申告時に提出する必要はありませんが、5年間は保存する義務があるため、確定申告書を提出した後も適切に保存しておくようにしましょう。

 

まとめ

小児矯正治療ではあごの骨の正常な発達を促すため、抜歯のリスクを低減できるなどさまざまなメリットがあります。気になる治療費用の相場は治療法や治療期間によって異なるものの、Ⅰ期治療、Ⅱ期治療を合わせて(またはⅡ期から単独で開始する場合)は 40万~130万円程度が目安になるでしょう。

小児矯正治療は、歯並びの状態によってスタートに適したタイミングが異なります。お子さんの歯並びや口元で気になることがあれば、矯正治療に詳しい歯科医院に早めに相談しておくと安心です。

みなみもりまちN矯正歯科では、小児矯正治療にも積極的に取り組んでいます。定期的にお口の中を観察しながら一人ひとりに合ったタイミングをご提案することも可能です。お子さんの歯並びに不安を感じる場合は、お気軽にご相談ください。

 

みなみもりまちN矯正歯科