矯正治療中の口臭予防〜専門医が教える5つの効果的ケア方法

矯正治療を始めたばかりの患者さんから「最近、口臭が気になるようになりました」という相談をいただくことがあります。これは珍しいことではなく、矯正中は口臭が生じやすい環境になりやすいためです。

矯正装置を装着すると歯の表面に複雑な構造物が加わり、食べかすや細菌の付着部位が増えることがあります。

（矯正装置に食べかすが溜まるイメージ図）
矯正治療中に口臭が強くなる主な要因は次の3つです。

歯並びの改善は将来的な口臭予防にもつながりますが、治療中はとくに丁寧な口腔ケアが重要です。

効果的な口臭予防の5つの方法（矯正中のセルフケア）

矯正中の口臭は、適切なセルフケアで十分にコントロールが可能です。臨床でご案内している代表的な方法をご紹介します。

通常の歯ブラシに矯正用歯ブラシ、ワンタフトブラシ、歯間ブラシ、**デンタルフロス（フロス糸通し併用）**を加え、装置周囲・ワイヤー下・歯間部を分担して清掃します。就寝前はとくに時間をかけて行いましょう（睡眠時は唾液量が減少しやすいため）。

（矯正時におすすめの清掃具のイメージ）

液体ハミガキやアルコールフリーの洗口液は、ブラシが届きにくい箇所にも行き渡り、プラーク中の細菌増殖を抑制する一助になります。

口臭原因の多くは舌苔（ぜったい）です。舌ブラシ／舌クリーナーで奥→手前にやさしく除去します。1日1回、朝の歯磨き時が効果的です。
（舌ケア手順のイメージ）

唾液は自浄作用を担います。以下を意識しましょう。

就寝前のケアと水分補給も忘れずに。

装置が複雑なため付着物が停滞しやすい傾向があります。

（ワイヤー周囲清掃のイメージ）

取り外しができるため通常の歯磨きが行いやすい一方、装置自体の清掃が重要です。

セルフケアに加え、定期的なプロフェッショナルケアを受けましょう。矯正中はリスクが上がるため、3〜4か月ごとの来院で以下を推奨します。

矯正治療は口腔環境が変化する治療です。適切な清掃と定期管理で、口臭リスクの最小化をめざしましょう。

噛み残し・装置付着・乾燥といった原因を分けて対策することで、矯正中でも爽やかな口腔環境を保つことが可能です。気になる症状がある場合は、矯正歯科治療を専門に行う歯科医師へご相談ください。

・矯正歯科治療は公的医療保険の適用外の自由診療です。
・一般的な治療期間：2〜3年　通院回数：24〜36回（症状により個人差があります）。
・主なリスク・副作用（一般的）：歯の移動に伴う一時的な痛みや違和感、装置による口内炎・歯肉炎、う蝕・歯周病リスクの上昇、後戻りの可能性など。治療前に個別の内容を説明いたします。