矯正治療の不安を解消〜専門医が答える7つの疑問と対策
矯正治療の不安をほどく|専門的視点で7つの疑問と向き合う

矯正治療に踏み出す前、誰しも少なからず不安を抱きます。痛みや見た目、費用のことなど、気になる点がいくつも重なると、最初の一歩が遠のいてしまうこともあります。
矯正治療は数ヶ月から数年に及ぶ長期の取り組み。始める前に疑問点を整理しておくことが、スムーズな通院につながります。
本記事では、臨床現場でよく寄せられる7つの疑問をとり上げ、対策や考え方をコンパクトに解説します。矯正治療を検討中の方の不安軽減に役立てば幸いです。なお、矯正歯科治療は主に公的健康保険の適用外の自由(自費)診療です。一般的な治療内容・標準的な費用レンジ・想定治療期間と通院回数、主なリスク・副作用(一時的な疼痛・違和感、歯根吸収、知覚過敏、虫歯・歯周病リスク増、発音の違和感、顎関節への負担など)について、院内の案内ページでも分かりやすく情報提供しています。
1. 装置が目立つか心配|控えめに見える選択肢と選び方
矯正装置の見た目が気になる、特に対面機会の多い方に多い心配ごとです。
現在は、セラミックブラケット(歯の色になじむ素材)、舌側矯正(リンガルブラケット矯正装置)(歯の裏側に装置を装着)、アライナー型矯正(歯科)装置(透明マウスピース)など、目立ちにくさに配慮した選択肢があります。装置ごとに適応範囲・治療期間・費用が異なるため、事前相談でライフスタイルやご希望をすり合わせ、メリットだけでなく留意点も確認しましょう。
ポイント(装置選択の考え方)
- ・見た目だけでなく、難易度・期間・費用のバランスで判断する
2. 痛みが不安|起こりやすい場面とやわらげ方
歯を動かす治療の特性上、調整直後の数日は痛みや違和感が出ることがあります。装置が頬・唇に触れて気になることもありますが、矯正用ワックスの使用や、違和感が強い時期はやわらかい食事に切り替えるなどで多くは軽減します。
アライナー型装置は少量ずつ段階的に歯を動かす設計のため、体感の程度が比較的穏やかと感じる方もいますが、感じ方には個人差があります。必要に応じて市販鎮痛薬の使用も検討し(指示に従う)、気になる点は次回調整時に遠慮なく相談してください。
対処のヒント
- ・矯正用ワックスで装置の角をカバー
- ・硬い/粘着性の高い食品は控える
- ・冷却で一時的に緩和を図る
- ・市販鎮痛薬は指示に沿って使用
3. 期間はどのくらい?|目安と短縮のコツ

部分矯正は数ヶ月、全体矯正はおよそ1〜3年が目安。症例により1年半前後で完了する場合もあれば、4〜5年かかるケースもあります。通院頻度は4〜6週間に1回前後(装置により2〜3ヶ月に1回のことも)。記事内の目安として、治療期間2〜3年・通院回数24〜36回といった表記も参考にしてください(詳しくは院内案内をご確認ください)。
期間に影響する要素
- ・歯列の複雑さ/年齢/装置の種類
- ・指示(装着時間・清掃)への協力度
- ・口腔衛生の維持(虫歯・歯周病の予防)
4. 費用が気になる|支払い方法と確認ポイント
矯正は自由診療のため、装置・期間・難易度により費用幅があります。総額・追加費用の有無・お支払い方法(分割等)の説明を受け、納得してから開始しましょう。医療費控除の対象になる場合があるため、該当の可否は毎年の状況に応じて確認を。
5. 食事・歯磨きが大変?|装置別のコツ
ワイヤー装置では、硬い・粘着性の高い食品は装置トラブルの原因になりやすく、ブラッシングは丁寧に時間をかける必要があります。矯正用ブラシ・歯間ブラシ・フロスなど補助清掃具の併用がおすすめです。
アライナー型装置は食事と歯磨き時に取り外せるため、従来より日常ケアの負担が少ないと感じる方もいます。ただし、装着時間の自己管理が必要です。装置の性質に合わせて、衛生士の指導に沿って日々のケアを続けましょう。
6. 後戻りが心配|保定期間の考え方
装置撤去後、歯は新しい位置に安定するまで時間を要します。保定装置(リテーナー)を指示どおりの時間装着し、破損・紛失時は早めに連絡しましょう。症例により固定式と取り外し式を使い分けます。経過観察の来院で、装着時間や方法を微調整していきます。
後戻り予防の要点
- ・指示に沿った保定装置の装着
- ・定期チェックで適合と清掃状態を確認
- ・口腔衛生の維持で歯周組織を健全に
7. 通院頻度と時間のやりくり|計画の立て方
ワイヤー装置は4〜6週間ごとの調整が一般的。アライナー型装置は2〜3ヶ月ごとの受診となることもあります。予約の取りやすさやアクセス、診療時間帯がライフスタイルに合うかを事前に確認し、カレンダーに通院予定を先に入れておくと負担を抑えられます。アクセスや診療時間の詳細は、医院公式サイトをご覧ください。
まとめ|疑問は相談でクリアに、理想の歯並びへ
矯正治療に伴う不安の多くは、事前の情報提供と対話で軽くできます。見た目の改善に加え、噛み合わせの改善は咀嚼効率や口腔衛生の維持にも寄与します。まずは現状とゴールを共有し、治療法・期間・通院回数・費用、そして主なリスク・副作用を丁寧に確認しましょう。
著者情報
院長 農端 健輔

経歴
2007年大阪歯科大学 卒業
2012年大阪歯科大学大学院私学研究科博士課程修了
2012年大阪歯科大学歯科矯正学講座において助教として勤務
2016年日本矯正歯科学会 認定医取得
2017年みなみもりまちN矯正歯科 開設
所属団体
近畿東海矯正歯科学会
日本矯正歯科学会
日本顎変形症学会
日本口蓋裂学会
World Federation of Orthodontists






