矯正治療中こそ定期的な歯科検診が重要な理由

矯正治療を開始すると、通常は月1回程度のペースで装置調整のために通院します。そこで「矯正の通院があるなら、一般的な歯科検診は不要では?」と感じる方も少なくありません。
ただ、矯正治療中こそ定期的な歯科検診が重要です。装置の装着により口腔内の環境は変化しやすく、清掃難度も上がります。

装置が付くと磨き残しや食片の停滞が生じやすくなり、う蝕(虫歯)や歯周病のリスクが相対的に高まることがあります。歯並びを整えても、疾患で歯を損なえば目的は達成しづらくなります。

 

矯正治療中の歯科検診では、う蝕・歯周病の確認に加え、専門的なクリーニングでセルフケアでは取り切れないプラークや歯石を除去します。
また、う蝕・歯周病は初期に自覚症状が乏しいことが多く、定期検診による早期発見・早期対応が有効です。

矯正治療中に歯科検診を受けるべき理想的な頻度

「どのくらいの頻度がよいのか」という点については、目安として3か月に1回程度の定期検診が推奨されます。矯正装置がある場合は清掃困難部位が増えるため、この頻度を守る意義はより高まります。

装置周囲は歯ブラシが届きにくく、補助清掃用具(歯間ブラシ、ワンタフトブラシ等)の併用が望ましい場面もあります。ただし、専門的クリーニングなしで完全に清潔を保つのは難しいことがあります。

 

既往歴や口腔内の状況により、2か月に1回など頻度の調整が必要な場合もあります。とくに歯周病の既往がある方、清掃が難しいと感じる方は主治医と頻度を相談しましょう。

違和感や痛みがあるときは早めに受診を。矯正治療は数か月〜数年の長期にわたるため、定期検診を併用すると治療の質と口腔の健康維持を両立しやすくなります。

矯正治療中の歯科検診で行われること

虫歯や歯周病のチェック
装置により視認が難しい部位も含め、う蝕や歯周組織の状態(炎症や出血、ポケットの深さ等)を確認します。早期であれば小さな処置で対応できる場合があります。

プロフェッショナルクリーニング
装置周囲に付着しやすいプラーク・歯石は、専用器具で効果的に除去します。とくに装置周囲は堆積しやすいため、定期的な専門清掃が有用です。

 

ブラッシング指導
装置の種類や口腔内の状況に合わせ、具体的な清掃方法を個別に提案します。補助清掃具の選び方・当て方・順序まで確認し、自宅ケアの質を底上げします。

 

矯正治療中に虫歯になってしまった場合の対処法

定期検診を受けていても、う蝕が見つかることはあります。初期のう蝕なら装置を外さず処置できる場合もありますが、治療内容によっては一時的に装置を外してう蝕治療を優先することがあります。

う蝕治療が完了したら、再装着のうえ矯正治療を再開します。一時的な中断により全体の治療期間が延長する可能性もあるため、日常のセルフケアと定期検診で予防することが、結果として治療の円滑化につながります。

違和感や痛みは我慢せず、早めに主治医へ相談してください。早期対応は、結果的に治療計画の遅延リスクを抑える助けになります。

矯正治療後も継続すべき歯科検診の重要性

治療終了後は保定期間に入り、歯が新しい位置で安定するまで保定装置を使用します。後戻りの有無保定装置の適合・破損を確認するため、定期検診は継続が望まれます。

保定期間には個人差がありますが、1年〜数年が一般的とされ、期間中は3か月に1回程度の検診が目安です。
検診では、わずかな変化の早期把握装置の調整・交換口腔衛生状態の確認を行い、咬合・機能の維持を図ります。

矯正治療は歯並びの整形だけでなく、咬合や機能の改善も目的です。長期的な安定のためにも、定期検診の習慣化をお勧めします。

まとめ:矯正治療の成功は定期検診とセルフケアの両輪

矯正治療中の定期検診は、治療効果の最大化口腔健康の維持の両面で重要です。
目安は3か月に1回、必要に応じて2か月に1回など個別調整を検討します。装置によって清掃は難しくなるため、専門的クリーニングブラッシング指導を併用してリスクを抑えましょう。

う蝕が見つかれば一時的中断や期間延長の可能性があるため、予防主体の通院時間と費用の観点でも合理的です。治療後も保定期間の検診を継続して、整えた歯並びを長く保ちましょう。

みなみもりまちN矯正歯科では、矯正治療中・治療後の定期検診と口腔衛生管理を重視し、担当歯科医師による診療とデジタル機器等の活用でサポートしています。検診や矯正治療に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

掲載にあたっての標準情報(当院の料金ページもあわせてご確認ください)

  • ・矯正歯科治療は公的健康保険の適用外の自由(自費)診療です。

  • ・標準的な治療期間・通院回数(目安):治療期間 2〜3年/通院回数 24〜36回(個人差あり、計画・装置・口腔衛生状態等により変動)

  • ・一般的なリスク・副作用:装置装着に伴う痛み・違和感、歯肉の腫脹・出血、歯根吸収や歯の動揺、う蝕・歯周病の進行リスク、金属等へのアレルギー、発音・咀嚼の一時的変化、治療期間延長の可能性、治療後の後戻りリスク(保定管理が必要)

著者情報

院長 農端 健輔

経歴

2007年大阪歯科大学 卒業
2012年大阪歯科大学大学院私学研究科博士課程修了
2012年大阪歯科大学歯科矯正学講座において助教として勤務
2016年日本矯正歯科学会 認定医取得
2017年みなみもりまちN矯正歯科 開設

所属団体

近畿東海矯正歯科学会
日本矯正歯科学会
日本顎変形症学会
日本口蓋裂学会
World Federation of Orthodontists

みなみもりまちN矯正歯科