歯列矯正は、子どものときに行う治療と思われるケースが少なくありません。その影響か、「大人になってからの歯列矯正はやめたほうがいい」といわれることがあります。

矯正治療は、虫歯の治療に比べると治療期間が長く、保険が適用されないケースが多いため、治療費も高額になりやすいです。そのため、大人の歯列矯正はやめたほうがいいという話を耳にすると、歯並びに悩んでいても矯正治療を受けるべきか迷ってしまう人も多いようです。

では、大人の歯列矯正は本当にやめたほうがいいのでしょうか。今回は、大人の歯列矯正はやめたほうがいいといわれる理由や矯正治療が向いていない人、治療のメリットなどについて解説します。

 

なぜ、大人の歯列矯正はやめたほうがいいといわれるの?

大人の歯列矯正はやめたほうがいいといわれる理由は、治療を希望する人が置かれている状況によっても変わります。一般的には次のような理由から、やめたほうがいいといわれるケースが多いようです。

 

・治療期間が長くなるため

・小児矯正よりも痛みを感じやすいため

・抜歯の可能性が高いため

・治療後に後戻りする可能性があるため

・虫歯のリスクが高まるため

 

治療期間が長くなるため

大人が歯列矯正を始める場合、歯並び全体を整えるためには1年から3年程度の時間がかかります。また、矯正装置を外してからしばらくは歯を支える骨が不安定な状態にあるため、保定装置を使って歯並びを安定させなければなりません。

したがって、矯正治療後の保定期間も入れると、完全に治療が終了するまでには数年以上の時間がかかります。治療期間が長くなれば、通院などで生活にかかる負担も大きくなるため、治療期間の長さから歯列矯正はやめたほうがいいといわれることがあるようです。

 

小児矯正よりも痛みを感じやすいため

骨が柔らかい時期に行う小児矯正に比べると、すでに成長を終えた大人の顎の骨は硬いため、歯を移動させるためにはより強い力をかけなければなりません。強い負荷をかけると当然痛みを感じやすくなります。

小児矯正に比べると痛みを感じやすい点も、大人の歯列矯正はやめたほうがいいといわれる理由の一つのようです。ただし、痛みは矯正期間中ずっと持続するわけではありません。また、痛みの感じ方にも個人差があります。

 

抜歯の可能性が高いため

小児矯正では顎の骨の成長を誘導できますが、大人の場合、顎の骨の成長を促す治療は行えません。そのため、歯を移動させるためのスペースを確保するために、矯正治療時に抜歯をするケースもあります。小児矯正に比べると大人の歯列矯正では抜歯の可能性が高くなるため、この点から矯正治療に反対する人もいます。

しかし、抜歯をせず歯並びが悪いままにしておくと、歯が重なる部分などに汚れがたまりやすくなるため、将来虫歯や歯周病になるリスクが高まります。また、かみ合わせが悪い状態のまま放置しておくと顎関節症などを招くおそれも出てきます。歯列矯正のための抜歯を敬遠する人は多いですが、抜歯は見た目を整えるだけでなく、お口の健康維持にもつながる大切な選択肢でもあることを理解しておいたほうがよいでしょう。

 

治療後に後戻りする可能性があるため

歯列矯正をしても保定期間にしっかりと保定装置を装着しないと、再び歯が元の位置に戻ってしまう可能性があります。過去に歯列矯正をしたものの戻ってしまったという自身の失敗経験から大人の歯列矯正はやめたほうがいいとアドバイスをする人もいるようです。

しかし、矯正治療後に必ず後戻りが起こるわけではありません。歯科医師の指示に従って保定装置を正しく装着すれば、矯正治療が終わった後も長く、よいかみ合わせを維持することは可能です。

 

虫歯のリスクが高まるため

矯正治療中は装置を装着するため、ブラッシングがしにくくなり、虫歯のリスクが高まります。そのため、永久歯が生えそろった状態で行う大人の歯列矯正はやめたほうがいいという意見もあるようです。

しかし、矯正治療中にセルフケアをしっかり行い、歯科医院で定期的なクリーニングを受ければ、虫歯のリスクは抑えられます。また、矯正治療完了後は歯の重なりも解消され、ブラッシングもしやすくなるため虫歯や歯周病のリスクを低減できるほか、特定の歯への過度な負担も解消されるため、お口の健康を維持しやすくなります。

 

歯列矯正をやめたほうがいい大人とは

メリットの多い大人の歯列矯正ですが、中には矯正治療が向いていない方もいます。歯列矯正をやめたほうがいい人の条件は以下のとおりです。

 

・多忙で継続的な通院が難しい人

・セルフケアを徹底できない人

・痛みに敏感な体質の人

・歯周病が進行している人

・歯並びを整えたいという明確な意思がない人

 

多忙で継続的な通院が難しい人

歯列矯正の治療では、月に1回から2カ月に1回程度、歯科医院への通院が必要です。忙しすぎて歯科医院への通院ができない人は、治療を適切に進められない可能性があります。また、マウスピース矯正の場合は、一定時間以上、マウスピースを装着する必要がありますが、仕事の内容などによって日中の装着が難しい場合はマウスピース矯正をしても結果を得られない可能性が高くなります。そのため、忙しいことから歯科医院への通院時間を確保できない人や仕事の事情などからマウスピースの長時間の装着が難しい人などは、歯列矯正には向いていません。

 

セルフケアを徹底できない人

矯正治療中は虫歯や歯周病のリスクが高まります。ワイヤー矯正だけでなくマウスピース矯正においても、食事後にしっかりブラッシングをせずにマウスピースを装着すると、マウスピースの中で細菌が増殖するおそれがあります。しっかりセルフケアを行えない人の場合、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、歯列矯正は向いていないでしょう。

 

痛みに敏感な体質の人

歯列矯正治療では、歯が動く際に痛みが生じます。ワイヤーの調整やマウスピースを交換してから数日程度で痛みは治まるものの、痛みに敏感な人や痛みに対して恐怖心が強い人は、歯列矯正治療が向いていない可能性があります。

 

歯周病が進行している人

歯周病が進行すると、歯を支える顎の骨が溶けてしまいます。骨が少ない状態で矯正治療を始めると、骨が歯を支えきれなくなり、歯が抜けてしまうおそれがあるため、歯周病が進行している人は歯周病の治療を受け、状態が安定してからでなければ矯正治療を行えない場合があります。

 

歯並びを整えたいという明確な意思がない人

歯列矯正は、治療が完了するまでに長い時間がかかります。そのため、歯並びを整えたいという明確な意思がないと、通院がおっくうになってしまったり、マウスピースの装着時間が短くなってしまったりして、よい結果を得られない可能性が高くなります。時間はかかっても歯並びを整えたいという気持ちが強くない人は、治療を見送ったほうがよいかもしれません。

 

大人の歯列矯正の4つのメリット

大人の歯列矯正はやめたほうがいいといわれることもありますが、実は、矯正治療によって歯並びが整うと審美面だけでなく、機能面でもさまざまなメリットを得られます。ここでは、大人の歯列矯正の4つのメリットについて紹介します。

 

・口元のコンプレックスを解消できる

・歯の寿命を延ばせる

・かみ合わせが改善される

・発音がしやすくなる

 

口元のコンプレックスを解消できる

大人の歯列矯正では、歯並びを美しく整えられるため、見た目のコンプレックスを解消できます。歯並びが悪いと、笑顔に自信が持てず、対人コミュニケーションに消極的になってしまう人もいるでしょう。しかし、歯列矯正で口元に自信を持てるようになると、笑顔も増え、日々の生活をより楽しめるようになります。

 

歯の寿命を延ばせる

歯並びが整うと、歯の重なりも解消し、汚れもたまりにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクを低減できます。歯を失う原因となる虫歯や歯周病のリスクを抑えられれば、歯を長く保ちやすくなるため、年齢を重ねても、長く自分の歯で食事を楽しめるようになります。

 

かみ合わせが改善される

かみ合わせがずれていると筋肉のバランスも崩れ、頭痛や肩こりなどの不調を招くおそれがあります。さらに、かみ合わせが悪いと食事をしっかりかめません。

歯列矯正治療によってかみ合わせが改善すると、顎まわりの筋肉や消化器官への負担が軽減される可能性があります。

 

発音がしやすくなる

歯並びが悪いと、歯の隙間から息が漏れてしまったり、舌を正しい位置に置けなかったりして、発音が不明瞭になる場合があります。

歯列矯正によって歯並びが整うと、歯の隙間もなくなり、舌を適切な位置に置けるため、はっきりと発音できるようになります。

 

歯列矯正で後悔しないためにできること

歯列矯正にはお金も時間もかかるため、矯正治療を始めてみたけれど「やっぱりやらなければよかった」と後悔することは避けたいものです。歯列矯正による後悔を防ぐため、事前に確認しておきたいポイントを3つご紹介します。

 

矯正のメリットとデメリットを比較する

大人の歯列矯正はやめたほうがいいといわれることもあるように、メリットがある一方でデメリットもあります。矯正治療のデメリットを知らずに治療を開始すると、後悔してしまうケースもあるため、治療を受ける前には、必ず歯列矯正治療のデメリットも理解しておくことが大切です。その上で自分がもっとも大切にしたいポイントを明確にし、最優先事項を軸に矯正治療をしたほうがよいか、現在の状態を維持したほうがよいか判断することをおすすめします。

 

自分に合った矯正治療法を選ぶ

大人の歯列矯正には、表側ワイヤー矯正、裏側ワイヤー矯正、ハーフリンガル矯正、マウスピース矯正、部分矯正などさまざまな方法があります。それぞれの治療法にメリット・デメリットがあるため、自分の考えやライフスタイルに合った矯正治療法を選ぶことが大切です。

 

信頼できる歯科医院に相談をする

歯列矯正にはさまざまな方法がありますが、歯並びや骨格の状態によっては適さない治療法もあります。しかし、自分に合った治療法をご自身で判断するのは困難です。そのため、歯列矯正でよりよい効果を得るためには、信頼できる歯科医院に相談し、適切な診断を受けることが重要です。

ただし、マウスピース矯正だけに対応している歯科医院ではワイヤー矯正ができず、ワイヤー矯正だけに対応している歯科医院ではマウスピース矯正を選択することはできません。歯列矯正治療を検討する際には、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の両方を取り扱っている歯科医院へ相談するとよいでしょう。

 

まとめ

歯列矯正は、年齢にかかわらず検討できる治療です。大人になってからの歯列矯正では、痛みを感じやすいなどのデメリットがあります。しかし、治療によって歯並びが整うとかみ合わせが改善されるため、見た目の悩みを解決できるだけでなく、心身ともに健康な毎日を実現できる可能性があります。

大人になった今、矯正治療をすべきか迷っているという方はぜひ、大人の矯正治療の実績を豊富に持つみなみもりまちN矯正歯科にご相談ください。

 

 

みなみもりまちN矯正歯科