ワイヤー矯正は、歯列矯正の中でも広く行われている治療方法です。歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる小さな装置を装着し、そこにワイヤーを通して計画的に力をかけ、歯を少しずつ移動させます。

歯並びを整えたいと考える際、多くの方がまず想起するのがこの方法かもしれません。金属色が見えやすい印象はありますが、見た目に配慮した素材も選択できるため、口元の印象を抑えながら治療することも可能です。

ワイヤー矯正の大きな特長は、複雑な歯の移動に対応しやすい点です。歯の回転や大きな移動が必要なケースでも適切にコントロールしやすく、噛み合わせの改善も同時に目指せます。

ワイヤー矯正の仕組み:装置とメカニズムの基礎

歯は歯槽骨に支えられ、その間にある「歯根膜」がクッションの役割を果たします。ワイヤーによって力がかかると、押される側では骨の吸収、反対側では骨の生成が進み、この反応を繰り返すことで歯が徐々に移動します。人の体の自然なリモデリング機構を活用した治療です。

ワイヤー矯正の5つの種類とそれぞれの特徴

以下は代表的な装置タイプです。症状や希望に応じて選択します。

1. 表側矯正(唇側矯正)

歯の表側にブラケットとワイヤーを装着する、歯列矯正で広く用いられている方法です。さまざまな歯並びの状態に対応しやすい点が特徴とされ、装置が見える位置にあるため、見た目の印象に配慮が必要になります。また、歯の表面に装置があることで清掃の仕方が変わることがあり、発音への影響には個人差があります。

2. 裏側矯正(舌側矯正)

歯の裏側に装置を装着する方法で、正面から装置が見えにくい点が選択理由の一つとなります。装置が舌に近い位置にあるため、治療開始直後は舌への触れ方や発音に違和感が生じることがあります。また、装置の構造上、期間や費用は状態により異なる場合があります。

3. ハーフリンガル矯正

上顎は裏側、下顎は表側に装置を装着する方法で、見た目への配慮と装置の構造的特徴を組み合わせたタイプです。裏側装置の違和感を抑えやすいとされる一方、上下の装置が異なる構造になるため、治療の選択や調整は歯並びの状態を踏まえて検討する必要があります。

4. メタルブラケット矯正

金属製のブラケットを使用する一般的なタイプで、耐久性を考慮して選ばれることがあります。さまざまな歯並びの状態に使用されることがありますが、金属色があるため、見た目の印象に関しては確認が必要です。

5. セラミックブラケット矯正

歯の色に近い素材を使用することで、装置が比較的目立ちにくいといわれる方法です。見た目に配慮しながら矯正を行いたい場合の選択肢の一つとなりますが、素材の特徴から取り扱いに注意が必要な場合があります。治療期間や適応は個々の歯並びの状態により異なります。

 

ワイヤーとブラケット素材の違い(見た目・扱いやすさの比較)

ワイヤーには、一般的なメタルワイヤーのほか、表面をコーティングして目立ちにくくしたタイプもあります(見え方の配慮は可能ですが、症例によって適否が異なります)。
ブラケットはメタル/プラスチック/セラミックなどがあり、見た目・強度・着色のしやすさなどが異なります。審美性だけでなく清掃性・耐久性も踏まえて選択します。

あなたに合うワイヤー矯正の選び方(見た目・費用・症状の観点)

見た目を重視するなら、裏側矯正やセラミックブラケットなど目立ちにくい選択肢が候補です。
費用面を重視する場合は、メタルブラケットによる表側矯正が検討しやすい傾向があります。
症状の複雑さが高い場合は、制御しやすい装置構成を優先します。
最終的な選択は、口腔内の状態・生活スタイル・希望を総合して歯科医師と相談のうえで決定します。

ワイヤー矯正の治療期間と費用の考え方

治療期間の目安:概ね 1〜3年 程度、通院回数 24〜36回(症例により変動)。
保定(リテーナー):治療後は後戻り防止のため保定装置を使用します。
費用:自由診療のため、装置構成や難易度により異なります。具体的な金額・項目は当院の料金表をご確認ください(本記事では金額の断定表示を避け、院内基準に準拠してご案内します)。

矯正歯科治療は公的医療保険の適用外の自由(自費)診療です。治療内容・標準的な費用・治療期間および通院回数は、患者さんが容易に確認できるよう院内の料金・ご案内ページで明示します。

矯正歯科医院の選び方(過度な優位性表現は避け、中立に判断)

装置や機器の名称・資格名を過度に強調せず、診療体制・相談のしやすさ・通院しやすさなど実際の受診に関わる情報を確認しましょう。

当院では、口腔内スキャナーや画像診査などデジタル機器を活用した検査・診断を行い、患者さんの状況に合わせた計画をご提案します(「最新」「最先端」といった比較・誇大表現は用いません)。アクセスや診療時間などの通院情報も、公式サイトの掲載内容に合わせてご確認ください。

まとめ:自分に合ったワイヤー矯正で機能と見た目の両立を

ワイヤー矯正には、表側・裏側・ハーフリンガル、メタル/セラミックなど複数の選択肢があり、それぞれに利点と留意点があります。見た目・費用・症状の複雑さを総合して選び、治療後の保定も含めて計画的に進めることが大切です。治療は長期にわたりますが、整った歯並びと適切な噛み合わせは日々の清掃性や咀嚼機能の向上にもつながります。

一般的なリスク・副作用(自由診療)

  • 装置装着後や調整後に痛み・違和感を生じることがあります。

  • 装置周囲の清掃不良により、むし歯・歯肉炎のリスクが上がります。

  • 歯の移動に伴い、一時的に咬合の変化を感じることがあります。

  • 治療後に保定を怠ると後戻りが生じる可能性があります。

  • 素材や装置の選択により、見え方・清掃性・破損リスクなどが異なります。

治療期間の目安:1〜3年/通院回数:24〜36回(症例により変動)
自由診療(費用は当院の料金表に準拠してご案内します)

著者情報

院長 農端 健輔

経歴

2007年大阪歯科大学 卒業
2012年大阪歯科大学大学院私学研究科博士課程修了
2012年大阪歯科大学歯科矯正学講座において助教として勤務
2016年日本矯正歯科学会 認定医取得
2017年みなみもりまちN矯正歯科 開設

所属団体

近畿東海矯正歯科学会
日本矯正歯科学会
日本顎変形症学会
日本口蓋裂学会
World Federation of Orthodontists

みなみもりまちN矯正歯科