外科的矯正治療とは、歯並びだけでなく骨格や咬み合わせに重度の問題がある場合に、矯正歯科治療のみでなくあごの骨の手術を併用して、かみ合わせを改善する治療法です。矯正歯科治療単独では改善が困難な場合に行います。正確には外科的矯正治療というのが正しい言葉ですが、外科矯正と省略されることもあります
術前            術後
 
外科矯正は、以下のような方に適応されます。
・下アゴがでている。しゃくれている(下顎前突症)
・下アゴが後ろに下がっている、アゴがない。笑うと歯グキが目立つ(上顎前突症)
・正面から見た時にアゴが左右にずれている(顔面非対称)
といったことを気にしている方に適応されます。
以上の不正咬合の方でも、骨格的な不正咬合、つまり骨格の問題が大きな不正咬合に対して適応されます。
外科的矯正治療の流れ
通常の矯正治療の期間に顎矯正手術が加わります。ただし骨格的なズレを最初に手術を行うわけでなく、手術前に術前矯正という期間が必要になり、治療期間は検査、診断のあと①術前矯正治療→②外科手術→③術後矯正という流れになります。
①術前矯正
手術によってアゴを移動させた時にかみ合わせが安定するようにマルチブラケット装置を用いて歯を並べます。そのため術前矯正ではかみ合わせが悪くなり、かみ合わせが悪くなります。調整は月に一度、10〜24ヶ月前後
②外科手術
手術の数日前から入院し手術を行います。術後の入院期間は10日から2週間となります。(術式や回復の程度によって異なります。また施設によって異なります)
③術後矯正
手術で移動させたアゴの骨は筋肉などに引っ張られ多少なりとも後戻りが生じます。後戻りを防ぎながらかみ合わせを落ち着かせるために上下のワイヤーにゴムをかけてもらいます。また手術でかみ合わせきれなかったかみ合わせの微調整を行います。
この後にプレート除去術(②の手術の時に移動させた骨を止める時に用いたチタンのプレートやスクリューを取る手術、近年は金属ではなく吸収性プレートをもちいることがあり全ての方に必要というわけではありません。)保定期間となります。
外科的矯正治療の費用
顎変形症の治療では健康保険が適応されます。ただし、すべての矯正歯科で可能というわけではなく、顎口腔機能診断施設(一定の施設基準が必要となります)での可能です。
症例によってかなりの幅がありますが、矯正治療の費用は3割負担で約30万円前後になります。
入院手術の費用に関しては、術式や入院期間によって異なりますが、3割負担で下アゴのみの手術で25万円前後、上下のアゴの手術では30〜35万円前後になります。ただし高額医療の適応になりますので申請すれば一部払い戻しがあります。
みなみもりまちN矯正歯科