最近、「今なら〇〇矯正が可能です」「今すぐ矯正を始めないといけません」と小児矯正をすすめる歯科医院が少しずつ増えてきています。小児矯正が広まっていること自体は、親として選択肢が増えるという意味ではとても前向きな流れです。
けれども、小児矯正は「ただ歯を並べるだけの治療」ではありません。
お子さんの成長や骨格の発育をふまえ、5年後・10年後を見据えて計画的に行う非常に専門的な分野です。

「始められること」と「診られること」はちがう

最近では、アライナー(マウスピース型矯正装置)や拡大装置など、比較的扱いやすい矯正機器が登場し、導入しやすくなったこともあり、矯正を専門にしていない一般の歯科医院でも小児矯正を提供するケースが増えています。
しかし、矯正治療というのは「装置があるからできる」というものではありません。
大切なのは、「その子に矯正が本当に必要かどうか」「今すぐ始めるべきか」「どこまでやるか」といった判断です。これは一人ひとりの骨格や成長の予測、将来の歯並びの変化までふまえて、長い視点で診ていく力が必要です。

親として知っておきたい、“小児矯正の本質”

矯正は早ければいいというものではなく、適切な時期と方法で行うことが大切です。
たとえば、
  • 成長によって自然に治るケース
  • 矯正よりも習癖の改善が効果的なケース
  • 一期治療(乳歯〜混合歯列期)ではなく、永久歯列になってからの治療が適しているケース
  • 骨格的な不正があるケース
などもあります。
これらを見極めるためには、ただ機器を使えるだけでなく、矯正の深い知識と経験が求められます。

「矯正専門医院」って、何がちがうの?

矯正専門医院では、日々あらゆる年齢層・症例の患者さんを診療しており、
  • 成長発育を見越した診断
  • 難症例への対応
  • 外科手術が必要な場合の判断と連携
    など、より専門的な対応が可能です。
もちろん、すべての一般歯科での矯正が問題というわけではありません。中にはしっかりとした体制や連携をとっている医院もあります。
ただ、お子さんの未来に関わる治療だからこそ、「どんな装置を使っているか」ではなく、「どのような考え方・体制で診てくれるか」に注目していただきたいのです。

こんな視点で医院を選んでみてください
  • 小児矯正の経験が豊富か(症例実績があるか)
  • 成長予測や精密検査に基づいた診断をしているか
  • 矯正専門医や矯正専門の医院か
  • 治療前にしっかり説明をしてくれるか(急かされないか)
  • 将来の永久歯の並びや咬み合わせまで含めた見通しがあるか

実は今、小児矯正は「注目のビジネス領域」として広がっています

ここで少しだけ、現在の歯科業界の流れについてお伝えしておきます。
最近では一部の歯科経営コンサルティング会社が、小児矯正を「ブルーオーシャン(競争が少なく、利益が見込める未開拓市場)」と捉え、
「小児矯正は導入すれば経営的に有利です」
「新たな収益の柱になります」
といった視点で、一般の歯科医院に導入を勧める動きが強まっています。
実際、比較的簡便に始められる矯正装置が登場したこともあり、これまで矯正を行っていなかった医院が、短期間で小児矯正を始めるケースも見られるようになってきました。
もちろん、それがすべて悪いわけではありませんし、熱心に学んで取り組んでいる先生方も多くいらっしゃいます。
ですが親として知っておきたいのは、“経営的な理由で始められた矯正治療”と、“長年の臨床経験に基づいた矯正治療”は、似て非なる可能性があるという点です。

まとめ:子どもの未来に、納得できる選択を

「矯正はどこで受けても同じ」ではありません。
特にお子さんの歯並びは、その後の成長や将来のかみ合わせに大きく影響するため、一度始めてしまうと後戻りが難しいこともあります
だからこそ、焦らず・慌てず、しっかりと説明を聞き、納得できる医院で相談していただきたいと思います。
お子さんの笑顔のために、本当に信頼できる場所で、矯正治療をスタートしてみてください。
みなみもりまちN矯正歯科