SNSの影響か見えにくい矯正装置を希望される患者さんが増えてきています。歯をキレイに並べる矯正装置を大きく分けるとすると唇側矯正装置、舌側矯正装置、マウスピース型矯正装置の3つになります。実はこれらの装置にはそれぞれ得意な歯の動かし方(移動様式)があります。今回は矯正装置別に得意な歯の移動を解説します。
1. 矯正装置の種類とは?
2.ワイヤーとブラケットの役割と歯の移動
3. インビザラインなどのマウスピース型矯正装置のメカニズム
4.舌側矯正装置の歯の移動のメカニズム
5.唇側側矯正装置の歯の移動のメカニズム
【1. 矯正装置の種類とは?】
矯正治療に使用される代表的な矯正装置には、マルチブラケット(ワイヤーを使用する)装置、マウスピース型矯正装置(インビザラインなど)があり、マルチブラケット装置には舌側矯正装置、唇側矯正装置などがあります。それぞれの装置には特徴や得意とする歯の移動のメカニズムが存在します。
【2. マルチブラケット装置の役割と歯の移動】
マルチブラケット装置は、最も一般的な矯正装置です。ブラケットは歯に取り付けられ、ワイヤーの弾性がブラケットを介して歯の移動を促します。歯を3次元的にコントロールすることができ、歯の位置や傾斜だけでなく、歯根(歯の根っこ)まで動かすことができます。
【3. インビザラインなどのマウスピース型矯正装置のメカニズム】
マウスピース型矯正装置は、透明なプラスチック製のマウスピースを使用して歯を移動させる方法です。患者さんにお渡ししたマウスピースを段階的に交換し使用していくことで徐々に歯を押し動かし、歯列の矯正を行います。インビザラインなどはこのタイプの矯正装置の代表例です。この装置の得意な歯の移動様式は傾斜移動で軽度のガタガタの方、前歯が前方に傾いている方や口元の突出感がない方の治療に適しています。逆に歯根を移動させることは難しく口元の突出感が強い方には適していません。
【4. 舌側矯正装置の歯の移動のメカニズム】
舌側矯正装置は、ブラケットが歯の舌側に取り付けられるタイプの矯正装置です。この装置は歯の裏側に取り付けられるため、外からは目立ちにくく、見た目を気にせずに治療を受けることができます。以前は歯の舌側にブラケットをつけるため歯根を後方に移動させることは難しいとされていましたが、矯正用アンカースクリューと前歯部に装着した長いフックを牽引することで歯体移動で前歯を歯体移動(歯を歯根ごと移動させる移動様式)ができるようになりました。どのような症例にも適応されますが、臼歯の固定(奥歯の前方への移動しにくさ)が強いため、抜歯をして口元を大きく後方に移動させたい方に適しています。また上顎の前歯を上方へ押し込むような移動も可能なためガミースマイルの改善も行えます。
5. 唇側矯正装置の歯の移動のメカニズム】
唇側矯正装置は、ブラケットが歯の唇側に取り付けられるタイプの矯正装置です。この装置は上の2つの装置に比べ目立ちやすくなります。一般的に矯正装置といえば思い浮かべる装置かと思います。ワイヤーの弾性をブラケットを介し歯に伝え歯の移動を行い、歯列を整えていきます。どのような歯の移動も得意で苦手な歯の移動もありません。当院で用いる唇側矯正装置はブラケットは白色、ワイヤーは銀色のものになります。調整時のブラケットとワイヤーの抵抗が少なく歯が動く期間が短く治療期間の短縮が期待できます。治療期間を極力短くしたい方に適しています 。
それぞれの矯正装置には得意とする歯の移動のメカニズムがあります。患者の状態や希望に合わせて、歯科医師が適切な矯正装置を選択し、正確な治療計画を立てていきます。矯正治療を受ける際には、自分に合った装置を選ぶことで、より効果的な治療を受けることができます。
みなみもりまちN矯正歯科