矯正歯科専門医院と一般歯科医院の違いとは?

歯並びを治したいと思ったとき、どこの歯科医院に行けばよいのか迷われる方は多いのではないでしょうか。実は、歯科医院の看板には「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」の4つが掲げられていますが、それぞれ得意分野が異なります。

歯並びの矯正治療を検討するなら、矯正歯科の看板を掲げている医院を選ぶことが一般的です。しかし、ここで重要なポイントがあります。

日本では歯科医師免許を持っていれば、矯正治療の経験がなくても「矯正歯科」と看板に掲げることができるのです。つまり、看板だけでは治療レベルを判断することはできません。

では、矯正歯科専門医院と一般歯科医院の違いは何でしょうか? 本記事では、矯正歯科専門医の資格や認定制度、一般歯科との違い、そして信頼できる矯正歯科医の選び方について詳しく解説します。

矯正歯科専門医の資格と認定制度について

矯正歯科治療の熟練度を示す指標として、日本には「認定医」と「専門医」という認定資格があります。これらは日本矯正歯科学会が設けた資格で、患者さんが矯正歯科医を選ぶ際の基準となるものです。

認定医になるためには、歯科医師のライセンス取得後に継続して5年以上の臨床研修を積むことや、学術刊行物に矯正歯科臨床に関する報告を発表することなどの条件が課せられています。また、資格をとった後も5年ごとに資格審査を受けなければならないという厳しい制度になっています。

一方、専門医は認定医の中でも特別に技術と経験が優秀である歯科医に与えられる認定資格です。専門医になるためには日本矯正歯科学会認定医資格を持ち、10年以上の臨床研修が必要となるほか、学会の定めた10種類の課題症例を自分で治療し、そのすべての治療結果が学会の定めた基準を満たして合格しなければなりません。

2025年3月現在、認定医は約3,044人、専門医は約309人と、総数に対してまだかなり少ないのが現実です。これらの資格を持つ矯正歯科医は、日本矯正歯科学会のホームページから探すことができます。

矯正歯科専門医の教育背景

一般に歯科医師は6年間の大学教育を受けますが、矯正に関しては総論を学ぶだけに留まります。これに対して、矯正を専門に行う歯科医師を目指す場合は、6年間の大学教育を受けた後、大学病院の医局などに残り、さらに5年間の矯正に関する臨床研修を受けることになります。

つまり、矯正歯科専門医は一般の歯科医師よりも長期間にわたって専門的な教育と訓練を受けているのです。この専門的な知識と経験が、複雑な症例にも対応できる技術力の差につながっています。

歯科医全体の約2.5%程度しかいないと言われる認定医資格は、矯正歯科医を選ぶ際の重要な指標となります。

一般歯科と矯正歯科専門クリニックの違い

一般歯科と矯正歯科専門クリニックでは、治療内容や体制に大きな違いがあります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

一般歯科(普通の歯医者)の特徴

一般歯科は、虫歯や歯周病、入れ歯治療など、保険が適用される治療の多くを提供している歯科医院です。歯のトラブルが発生した場合は、まず一般歯科に足を運ぶことが一般的です。

幅広い口内のトラブルに対応できるため、歯列矯正のサービスも受けることが可能な場合があります。しかし、多くの一般歯科では、矯正治療に関して外部から認定医などのエキスパートを招き、月に数回の矯正治療を依頼しているのが実情です。

一般歯科で矯正治療を受ける場合、歯列矯正をする前に口内の健康状態をチェックしてもらい、必要に応じて治療を受けられる点がメリットといえます。しかし、矯正専門の設備が整っていなかったり、矯正装置のトラブル時に迅速に対応できなかったりするデメリットもあります。

矯正歯科専門クリニックの特徴

矯正歯科専門クリニックは、矯正治療を重点的に学んだ歯科医師が開業した歯科医院です。矯正歯科治療に特化した専門的な設備が整っており、さまざまな症例に対する歯列矯正のノウハウを持っています。

ドクター自身が矯正治療に関する専門的な知識や技術を身につけていることはもちろん、歯科衛生士や歯科助手、受付などの歯科医師以外のスタッフも矯正治療ならではの配慮ができるので安心です。

また、認定医などを招いている一般的な歯科医院と比較すると、矯正を熟知している歯科医師が常勤のため、治療期間中に急なトラブルが起きても素早く適切な対応をしてもらえるというメリットがあります。

矯正歯科専門クリニックでは、一般歯科で矯正ができないと判断された症例でも、適切な対処をした上で治療してもらえる可能性が高いです。

矯正歯科専門医院で治療を受けるメリット

矯正歯科専門医院のもとで治療を受けることには、いくつかの大きなメリットがあります。具体的にどのような利点があるのか、詳しく見ていきましょう。

装置のトラブルにすぐ対応してもらえる

矯正器具に不具合が発生した場合、矯正歯科専門医院であればすぐに対応してもらえます。一般歯科の場合、歯列矯正を担当する矯正専門医は常勤しているわけではないため、治療器具のトラブルに迅速に対応してもらえません。

矯正器具の不具合は治療期間の延長につながってしまうため、素早くトラブルを解決してもらえる点は矯正歯科専門医院で治療を受ける大きなメリットです。

治療期間が短くて済む

矯正歯科専門医院で歯列矯正を受けると、一般歯科よりも治療期間を短くすることが可能です。一般歯科の場合、矯正をしてくれる専門医は月に数回しか来院せず、それ以外の日は治療を受けられません。

矯正歯科専門医院は最新の矯正技術や装置に精通しており、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立てることができます。そのため、効率的に歯を動かし、治療期間を短縮することが可能なのです。

治療期間が短くなれば、患者さんの負担も軽減されます。長期間にわたる通院や装置の装着による不便さを少しでも減らせることは、大きなメリットといえるでしょう。

さまざまな症例、治療法に対応できる

矯正歯科専門医院は、多くの症例を経験しているため、複雑な歯並びの問題にも対応できる技術と知識を持っています。出っ歯や受け口、八重歯、開咬など、さまざまな不正咬合に対して適切な治療法を提案することができます。

また、矯正装置にもさまざまな種類があり、患者さんの状態や希望に合わせて最適な装置を選択することが重要です。矯正歯科専門医院は、従来のワイヤー矯正だけでなく、マウスピース型矯正装置や舌側矯正など、多様な矯正方法に精通しています。

さらに、矯正治療だけでは効果が得られない場合には、外科矯正にも対応しており、骨格から治療することでフェイスラインや顔全体のバランス改善も行うことができます。

信頼できる矯正歯科医の選び方

矯正治療は長期間にわたるため、信頼できる矯正歯科医を選ぶことが非常に重要です。どのような点に注目して選べばよいのか、具体的なポイントを見ていきましょう。

認定資格の確認

まずは、矯正歯科医が日本矯正歯科学会の認定医や専門医の資格を持っているかどうかを確認しましょう。これらの資格は、矯正歯科医としての知識と技術が一定水準以上であることを示す重要な指標です。

日本矯正歯科学会のホームページでは、認定医・専門医を地域から検索することができます。お住まいの地域で資格を持つ矯正歯科医を探してみるとよいでしょう。

精密検査と診断の実施

信頼できる矯正歯科医は、治療を始める前に必ず精密検査を行い、それに基づいた診断と治療計画を立てます。特に重要なのは、頭部X線規格写真(セファログラム)検査です。

セファログラムは診断のグローバル・スタンダードで、特に子どもの患者さんでは顎顔面の成長バランスや成長方向、量の予測をするために不可欠な検査です。この検査を行わずに治療を始める矯正歯科医は避けるべきでしょう。

また、口腔内検査、顎機能と咬合機能の検査、顎のプロポーション検査、筋機能の検査、模型分析なども重要な検査です。これらの検査結果を詳細に分析した上で診断を行い、治療計画を立案する矯正歯科医を選びましょう。

治療計画と費用の説明

信頼できる矯正歯科医は、治療計画や費用について詳細に説明してくれます。治療のゴールやそのプロセス、適した治療装置とその効果、治療期間、保定、後戻りの可能性や治療のメリット・デメリットなどについて、わかりやすく説明してくれるかどうかを確認しましょう。

また、治療費用についても、治療費、調節料、支払い方法(一括・分割)、装置が壊れたときの対応、転医あるいは中止する場合の精算についても詳細に説明してくれるかどうかも重要なポイントです。

矯正治療は長期間にわたるため、途中で引っ越しなどで転医が必要になることもあります。そのような場合の対応についても事前に確認しておくとよいでしょう。

矯正歯科治療の保険適用について

矯正歯科治療は一般的に自費診療となりますが、特定の症状が伴う場合には保険診療が適用されることがあります。保険適用の範囲は年々拡大されてきており、どのような場合に保険が使えるのか知っておくことも大切です。

顎変形症の場合

いわゆる「受け口」のような、骨格不調和による噛み合わせの問題は、通常の矯正治療だけでなく、外科手術を併用する必要があります。この場合、矯正治療(外科矯正)は保険適用となります。

顎変形症の治療では、矯正治療と外科手術を組み合わせることで、噛み合わせの改善だけでなく、顔貌の改善も期待できます。アゴの骨を切る手術は口の中から行うため、顔に傷跡も残らず、安全度の極めて高い手術です。

近年では、手術前後の矯正治療についても健康保険が適用できる歯科医院が増えてきました。顎変形症かどうかの診断は、矯正歯科専門医院による精密検査が必要です。

厚生労働大臣が定める疾患

厚生労働大臣が定める疾患に該当する場合も、矯正歯科治療に保険が適用されます。これには、歯並びに関わる先天異常のほか、永久歯の数が不足していたり、永久歯が埋まっていたり(埋伏)するなど、さまざまな口の疾患が含まれます。

保険診療の可否については、初診相談時に詳しく説明してもらうことが大切です。保険診療が適用される場合は、治療費の負担が大幅に軽減されますので、該当する可能性がある方は、矯正歯科専門医院に相談してみることをおすすめします。

まとめ:矯正歯科専門医院を選ぶことの重要性

矯正歯科治療は、単に見た目の美しさだけでなく、噛み合わせの改善や口腔機能の向上など、健康面でも重要な役割を果たします。そのため、信頼できる矯正歯科専門医院を選ぶことが、治療の成功には不可欠です。

矯正歯科専門医院は、一般歯科医院と比べて矯正に関する専門的な教育と訓練を受けており、複雑な症例にも対応できる技術と知識を持っています。また、矯正専門の設備が整っていることや、装置のトラブル時に迅速に対応できることなど、多くのメリットがあります。

矯正歯科医を選ぶ際は、日本矯正歯科学会の認定医や専門医の資格を持っているかどうか、精密検査と診断をきちんと行うか、治療計画や費用について詳細に説明してくれるかなどをチェックしましょう。

大阪市北区にあるみなみもりまちN矯正歯科は、院長が日本矯正歯科学会認定医であり、矯正歯科を専門に行う歯科医師として、歯列矯正に対する確かな知識と技術、豊富な経験を持っています。最新技術を用いた3Dデジタル矯正や外科矯正にも対応しており、患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療を提供しています。

矯正治療をお考えの方は、ぜひ矯正歯科専門医院による無料相談を利用して、ご自身に合った治療法を相談してみてください。詳しくは、みなみもりまちN矯正歯科のホームページをご覧ください。

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